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なぜホームページ制作で失敗するのか?

ホームページ制作で「思った通りにならない」「費用ばかりかかる」といった失敗談は後を絶ちません。多くの場合、原因は業者選びの段階にあります。価格だけ、見た目だけで選んでしまうと、集客や運用に必要な視点が欠けた状態で納品されるため、リニューアルや追加投資が必要になり結果的にコストが膨らんでしまいます。

業者選びで最初に確認すべき5つのポイント

1. 実績(ポートフォリオ)の質を見る

過去の制作事例は、その会社の得意分野やデザインの傾向、完成度を図る最も重要な指標です。業種別の実績や、成果(問い合わせ増加やSEO改善など)の具体的な数値を示しているかを確認しましょう。また、実際に公開されているサイトを訪れて動作やレスポンシブ性をチェックすることをおすすめします。可能であれば、担当者に事例の裏側(目的、施策、結果)を聞き出し、再現性があるかどうかを判断します。

2. 集客・運用まで考えた提案か

単に「かっこいいデザイン」を作るだけでは不十分です。公開後の運用(更新のしやすさ、CMSの選定、SEO対策、アクセス解析の設定、広告運用との連携)まで視野に入れて提案してくれるか、またそのための費用が見積に含まれているかを確認してください。運用面の説明が曖昧な業者は注意が必要です。具体的には、月次レポートの提供頻度や改善提案のフローを確認しましょう。

3. 見積もりの明瞭さと内訳

「一式〇〇円」だけの見積もりは後でトラブルになりやすいです。デザイン費、コーディング費、システム開発、ドメイン・サーバー設定、保守費用などを明確に分けた見積を要求しましょう。追加作業やオプションの単価も確認し、想定外の支出を避けます。さらに、支払いスケジュール(分割、着手金、納品後支払い)も明確にしましょう。

4. 担当者とのコミュニケーションの相性

制作は共同作業です。担当者のレスポンススピード、説明のわかりやすさ、提案に対する柔軟性を初回の打ち合わせや見積り段階で見極めてください。意思疎通が難しい相手だと、納期遅延や認識齟齬が生じやすくなります。打ち合わせの記録(議事録)を残す文化があるかも重要です。

5. 保守・サポート体制と契約条件

公開後の更新、セキュリティ対策、トラブル対応の体制は非常に重要です。保守契約の内容(対応時間、対応範囲、費用)を事前に確認し、どのような場合に追加費用が発生するかを明確にしておきましょう。バックアップの頻度やバージョン管理、緊急時の対応フローも確認しておくと安心です。

業者比較のための実務チェックリスト(テンプレ)

  • 制作実績のURLと、その成果(可能なら数値)
  • CMSは何を使うか(WordPress、独自CMSなど)
  • SEO対策・内部設計の具体的内容
  • レスポンシブ対応と対応確認環境(ブラウザ・デバイス)
  • 保守契約の内容と料金体系
  • 納期とマイルストーンの提示
  • 修正回数・修正の範囲(無償/有償)
  • 納品後の引き継ぎ(マニュアル・研修)の有無

見積りでよくある落とし穴と対応策

見積り時に見落としがちな点として、初期費用以外に発生するランニングコストが挙げられます。具体的には、サーバー料金、ドメイン更新費、メールアドレス管理費、プラグインや外部サービスの月額料金などです。これらを年間コストとして試算し、長期的な予算を確保することが重要です。また、追加修正の料金体系を明確にし、想定される運用フェーズごとの費用見積りをもらうと後で安心です。

制作過程でチェックすべき主要フェーズとポイント

  • 要件定義:ビジネスの目的とKPI(例:月間問い合わせ数)を具体化する
  • 設計(ワイヤーフレーム):ユーザー導線とコンテンツ配置を数値目標に紐づける
  • デザイン:ブランドイメージと業界標準に合っているか確認
  • 実装(コーディング):表示速度、モバイル最適化、アクセシビリティを検証
  • テスト:フォーム送信、リンク切れ、ブラウザ互換性、SSL設定を確認
  • 公開後:アクセス解析の設定と初期レポートの確認

よくあるトラブル事例と回避策(実例)

事例1:低価格業者に依頼したが、納品後すぐ表示崩れが発生。回避策は、納品前の動作確認項目を契約書に明記し、検収基準を細かく設定すること。事例2:更新ができず保守費用が高額に。回避策は、CMS操作研修とマニュアルの提供を契約条件に含めることです。

発注フロー(目安)

1)相談・ヒアリング(1〜2週間) → 2)提案・見積(1〜2週間) → 3)設計・デザイン(3〜6週間) → 4)実装・テスト(2〜4週間) → 5)公開・引き継ぎ(1週間)。規模や要件により前後しますが、スケジュールは余裕を持って設定しましょう。

成果を測るための指標(KPI)

制作の目的に応じて、測るべきKPIを決めます。一般的には「月間セッション数」「問い合わせ数(フォーム・電話)」「コンバージョン率」「ページ読み込み速度(LCPなど)」が重要です。制作前に目標値を設定し、公開後のレポートで定期的に確認することで、改善サイクルを回せます。

技術面で見ておきたいポイント

表示速度はユーザー体験とSEOに直結します。画像の最適化や遅延読み込み、キャッシュ設定、不要なスクリプトの排除などを実施しているか確認しましょう。また、モバイルファーストの表示確認、構造化データの実装、セキュリティ(HTTPS、WAFやプラグインの更新管理)も重要です。

見積り依頼(RFP)に使える簡易テンプレート

以下は業者に送るときに使える短い依頼テンプレです。要点を整理して送ることで、比較がしやすくなります。
件名:ホームページ制作の見積り依頼(会社名)
本文:1. 目的(例:問い合わせ数の増加/商品販売の強化) 2. 想定ページ数 3. 必要機能(予約フォーム、決済、会員機能など) 4. 希望納期 5. 予算の目安 6. 連絡先(担当者名・電話・メール)

よくある質問(FAQ)

Q. 格安業者は完全にダメですか?
A. 全てがダメとは言えませんが、格安業者は機能面やサポート面が限定的なことが多いので、長期的視点でのコストが高くなる場合があります。目的に応じて適切な業者を選びましょう。

Q. CMSはWordPressで問題ない?
A. 小規模〜中規模のサイトであればWordPressが使い勝手・拡張性ともに優れています。セキュリティ対策や定期的な更新を怠らないことが重要です。

Q. 制作後に自分で更新できますか?
A. CMSの使いやすさは業者によって差があります。更新操作の研修やマニュアル提供を依頼して、実務で運用できる体制を整えましょう。

最後に

改めて、本記事の要点を整理すると「実績・運用設計・見積りの透明性・コミュニケーション・保守体制」の5つが最も重要です。業者選びはビジネス成果に直結する投資です。慎重に比較し、信頼できるパートナーと共に進めてください。

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