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なぜ製造業の「数字だけの事例」は届かないのか

製造業のWebサイトでよく見る事例ページは、納入実績や寸法・納期・コスト削減率などの数字が並ぶだけで終わることが多いです。しかしBtoBの購買担当者が本当に知りたいのは、数字の裏にある「どうやって解決したのか」「自社に適用できるか」「一緒に働くときの信頼感」です。数字は重要な裏付けですが、決定打になるのは「ストーリー」です。

ストーリーを軸にした事例紹介の基本構成

効果的な事例は、訪問者が感情的にも論理的にも納得できる流れで作られています。以下の順で構成するのが基本です。

  • 課題(顧客が抱えていた具体的な困りごと)
  • 背景(なぜその課題が生じていたか/業界や工程の事情)
  • アプローチ(自社が取った提案と工程)
  • プロセス(試作・検証・改善のストーリー。人の役割を明示)
  • 結果(定量的な成果+顧客の声・導入後の変化)
  • 次の展望(継続的な支援や改善の約束)

各パートで必ず盛り込むべき「ストーリー要素」

上の構成を埋める際に、ストーリーとして響くための要素を押さえます。

  • 課題に対して「当時の現場の状況」を具体的に描写する(誰が、どの工程で、どんな困りごとを抱えていたか)
  • 提案をただ列挙するのではなく「なぜその提案を選んだか」を説明する(他案との比較があると説得力が増す)
  • プロジェクトに関わった「人」の名前と役割を示す(担当者の顔が見えると信頼感が上がる)
  • 定量的な結果はグラフや表で見せ、同時に定性的な効果(作業のしやすさ・品質の安定・社内の安心感)も伝える
  • 顧客のコメントは、課題→導入→結果を振り返る形で引用する(第三者の声は強力な社会的証明)

BtoBならではの“見せ方”テクニック

  • 💡 工程フォトダイアリー:試作から量産までのキーフェーズを写真で追う。ビフォー/アフターだけでなく「途中経過」を見せることで信頼性が増す。
  • 💡 担当者の短インタビュー:技術者やプロジェクトマネージャーのコメントを入れることで、現場力とコミュニケーション力を示せる。
  • 💡 課題マップ:問題点と優先度を図示し、どこをどう変えたかを視覚化する。
  • 💡 プロトタイプの証拠:試験結果や検査レポートの抜粋(機密に配慮した上で)を示すと、説得力が格段に上がる。

テンプレート化して量産する(でも個別性は失わない)

事例は一つひとつ手作りするのが理想ですが、営業やマーケターの負担になりすぎると継続できません。そこで「テンプレート化×個別のストーリーテリング」を組み合わせます。

  • 共通テンプレ項目を決める(概要・課題・提案・結果・顧客コメント・使用技術)
  • テンプレの各項目に「必ず入れる質問」を用意(インタビューシート)
  • 写真と図は必ず3点以上(現場・製品・工程)を揃えるルールにする
  • 公開前に顧客レビューを得る(同意確認・引用許可)

事例ページを“営業ツール”化する方法

Web上の事例は、訪問者だけでなく営業が商談で使える重要な武器になります。具体的な活用法を示します。

  • 事例ごとに「適合する業界・規模・課題タグ」を振る(検索とマッチング性を高める)
  • PDF版(営業用)を作り、商談時に渡せるようダウンロード可能にする
  • 導入までのタイムラインを明示し、営業がスケジュール感を共有しやすくする
  • 類似事例を「比較」できるページを用意し、選定の不安を減らす

SEOと発信:事例を資産に変える運用術

事例は公開して終わりではありません。検索流入やリード獲得につなげるために、以下の運用が効果的です。

  • 💡 キーワード設計:課題ベースの検索キーワード(例:「金型 トレラブル 低コスト対策」)を想定し、見出しと本文で自然に織り込む。
  • 💡 メタデータ最適化:タイトルとディスクリプションに成果+業界名を含める(例:「自動車部品の量産化でXYZ社のコストを20%削減」)。
  • 💡 SNS/メールでの定期発信:新事例公開時に短いストーリーをSNSで紹介し、詳細はサイトへ誘導する。
  • 💡 リライト運用:半年ごとに追加の成果や改善を追記し、事例を生きた資産にする。

実例:ストーリーで受注につながったケース(要約)

(ここでは例を要約します。実際に使う場合は顧客の許諾を得て公開してください。)

  • 課題:試作から量産移行で不良率が高く、コストが膨らんでいた
  • アプローチ:工程別にボトルネックを可視化し、材料選定と工程順序を一部変更してプロトタイプ検証を短期で回した
  • プロセス:社内技術者と顧客の設計担当が週次で設計レビュー。改善内容は小刻みに検証し、短期間で安定化
  • 結果:不良率が半分以下に低下、立ち上げ期間が短縮。顧客は量産発注を決定し、長期契約に至る
  • ポイント:数字と合わせて「設計担当の熱意」「現場での小さな工夫」を伝えたことが、決め手になった

チェックリスト:今すぐ改善できる項目

  • 事例に「人のコメント」が入っているか(担当者・顧客双方)
  • プロセスの「途中経過」が写真や図で説明されているか
  • 事例に業界タグや課題タグが付与されているか
  • 営業が使えるPDF版や資料が用意されているか
  • 公開後に半年ごとのリライト計画があるか

まとめ:数字は裏付けに、主役は「物語」

製造業の事例紹介は、単なる数値の羅列では差がつきません。問題の背景、提案の理由、現場の人の動き、そして導入後の変化—これらをつなげた「物語」が、購買担当者の共感と納得を生み、発注決定に寄与します。数字はその物語を補強する証拠として利用し、ストーリーと証拠を両輪で見せる設計を心がけてください。

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